月曜早朝の築地市場。
クルマもヒトも動き回っている。
「動く」「動ける」「動かす」というのは、すばらしいこと。
エネルギーの源。
術後1日目の午前中までの、全身からたくさんの管が出て、微動だにできない状態は、傷口の痛みより辛かった。
理由は簡単。カラダが全く動けないせいで、ココロまで動けなくなったから。
1日だから我慢できたものの、この状態が1週間、1カ月、1年と続いている人の辛さは想像を絶する。
2005年に90歳で亡くなった祖母は、最後の数年は寝たきりで、実家で母が介護していた。
祖母は、寝たきりになってしまった途端に会話ができなくなり、反応が鈍くなった。動けないせいで、生きるパワーが体をめぐらなくなったからだと思う。
術後初めて立つときは、まず血栓防止用に脚に巻かれたマッサージ機が外される。これは術後ずーっと付けていた。
そのあとベッドを45度起こして何十分か様子を見る。
大丈夫そうなら90度まで起こす。また何十分か様子を見る。
大丈夫なら脚を降ろしてみる。
ゆっくり立ち上がり、様子を見る。
足踏みをしてみる。
すぐ近くのトイレの前まで往復できたら、点滴や導尿の管が抜ける。
必死のプロセス。
たった1日とはいえ、全く動けないと、これほど時間をかけないと、起きて歩くことができない。
もちろん手術を受けたことによるカラダへのダメージは大きいのだが、動けないことがココロに与えるダメージも同じくらい大きかった。
「病は気から」って、書くとたった5文字だし、意味もわかっているつもりだったが、そうではなかった。今回の経験で、本当の意味を理解した。
心と身はつながっていて、連動する、
ということだ。
こうしてみると、心身症という名前の病気があるのも納得できる。
自分は心が強いから大丈夫だと過信していたが、
身は大きな病気になってしまったので、
今後は謙虚に、心身のつながり具合と、連動状態を丁寧にケアしながら生きていきたい。