SAILING POEMS

If you are good enough, someone will notice.

せこい

朝の電車で、隣に立っていた男が、自分の目の前ではなく、斜め前の席が空いたのに、体で目の前に立つ人をブロックしながら押しやって、割り込んで、座った。

その直後に一瞬、男が口角を上げたのを、私は見逃さなかった。座れたのがそんなにうれしいのか。

せこい。悲しくなるほどせこい。

まだ若いのに。かっこわるい。

間違ってもわが子がこんなことになってはいけないので、私はKがちゃんと立てるようになった頃から、乗り物では立つのがあたりまえ、とサブリミナルに教育してきた。

2歳のころは「ずっと立てるかなゲーム」的に盛り上げて。ずっと立てたらほめちぎった。

その後は筋トレの一環として。足に筋力がつくとかけっこがさらに速くなる、バランス感覚がよくなるから運動神経抜群になる、と。

小学生になると「電車で席をゆずるよりも、最初から座らないほうがかっこいい」「私はパパみたいに座らない男が好きだ」などと折に触れ持論を押し付けた。

とにかくせこい男にだけはなってほしくない。小さい頃からの親のスタンスが勝負を分けると思う。