SAILING POEMS

If you are good enough, someone will notice.

初戦敗退と東大受験

秋の大会、第2シードで臨んだ初戦、ノーシードの相手に10点差で負けた。Kの帰宅後の開口一番は、

「勝ちたかった」

夕食後は、

「ビリだから、あとは上がるしかない」

K自身の目標はなに?ときくと、

「エースに頼らず、自分が一番シュートする選手になる」

シンプルで、まっとうな目標だ。がんばれ。

トラブルの多い学年で、昨年は「罰」続きで、ろくすっぽ練習させてもらえなかった。この代が中心になって練習や試合をたくさんできるようになってわずか2ヶ月。でも、確実に上達してきている。それでいい。

初戦敗退は10年ぶり?どーでもいいよ、そんなこと。先輩の戦績なんて関係ない。練習でも試合でもベストを尽くしているなら、雑音は無視して堂々としていればいい。

偉大な先輩に学ぶ必要はあるが、偉大な先輩と比較することに意味はない。自分は自分、自分たちは自分たちなんだから。

努力すべき点が山ほどある、ビリの自分たちをしっかり見つめて、これからさらに練習して成長していく自分を楽しみにしながら、堂々と突き進めばいい。

そのかわりベストを尽くせ。常に。そうしないと、心のどこかに後悔のかけらが残る。余計なかけらはいらない。

30年近く前に、高2の私の数学の成績は、東大合格からは完全に圏外だった。初めての進路面談で志望校があいまいだった私に、担任の数学の先生がスパッと言った。

「東大を目指せ。これまでの経験から、おまえみたいなタイプは東大に受かる。今の成績はダメだが、勢いがあるから伸びる。そのかわり受験までに『解法のテクニック 代数幾何&基礎解析』の2冊を、最初から最後まで計3回ずつ解け。一度できた問題も、飛ばすなよ。全問を3回ずつだぞ」

「受かる」と断言してくれたおかげで、急にそんな気がしてきた。一度できた問題を二度とやらない私の性質を見抜かれていたことも、先生の言葉を信じる理由になった。

で、その日から指示通り、愚直に1問ずつ解いていった。普通にやっていたら間に合わないので、友達にも「東大に行きたいがこのままだと受からないので生活モードを変える」と宣言し、寄り道も中止、昼休みも返上、食べる寝る授業受ける以外のすべての時間を『解法のテクニック』に捧げた。

1回目より2回目のほうが、ほんの少しラクに正解できるようになった。『解法のテクニック』を詰め込みすぎて口から出てきそうになるほどきつかったが、わずかながら進歩を自覚できたので、引くに引けなかった。

3回目は、呼吸するようにリズミカルに解けることが増えた。そして、『解法のテクニック』と自分が一体化したと感じられるようになったころ、本番の試験を受けた。4問中3問まで正解を確信しながら解けた。その時点で「受かった!」と心のなかでガッツポーズをした。

勝因は、恩師の「受かる」を素直に信じ、底辺からだんだんと上がっていく自分をいつも楽しみにイメージしながら、毎日これ以上は無理というほど努力したこと。「模擬」に一喜一憂するヒマがなかったこともあり、途中の模試の結果は無視した。

「ビリだから、あとは上がるしかない」

うん、いいね。Kも、上がっていく自分を、いつも楽しみにイメージしながら、もうこれ以上は無理っていうくらい努力してごらん。

今の自分を変えられるのは、自分しかいないんだから。自分で自分を励まして、盛り上げてね。

私は、バスケママ仲間が貸してくれたスラムダンクを読みながら、応援しています。