SAILING POEMS

If you are good enough, someone will notice.

電通報2005/12/12 松本隆さんからの指針

ある程度の年齢になれば、誰にでも“青春の一曲”があると思う。私の場合は、松田聖子の「制服」である。初めて自分で買ったドーナツ盤のレコード「赤いスイートピー」。そのB面にあった曲だ。

憧れの先輩が卒業する日、一言気持ちを伝えたかったのに、「記念に制服のボタンください」としか言えなかった。その状況が、歌詞にぴたりと重なって、一日中頭の中を「制服」が流れていた。大事な場面で大事なことをちゃんと言える人間になりたい、と心底思った。

歌詞から何かを学んだのは、それが初めてだったので、「作詞家松本隆」の名前は、しっかりと胸に刻まれることとなった。今年、その松本さんのお話を伺う機会に恵まれた。ご自身の経験を交えながら、言葉を一つ一つ静かに置くように話してくださった。

「バランスをとって生きることは大切だ。でも、バランスをとるための中心点は一つしかない。その位置は、やじろべえの両極端を知った者にのみわかる。だから、崖っぷちギリギリまで行ってみることだ。怖がらずに左右に振れてみると、中心点は自ずとわかってくるから」…。人生の中盤でまたもや貴重な指針を与えてもらった幸運に感謝している。