SAILING POEMS

If you are good enough, someone will notice.

電通報2003/4/21 新入社員へ

昨年、別の会社に勤める友人が入社試験の面接官をしたのだが、とても印象に残る学生に会ったという。トロント在住歴20年のA君。生粋の帰国子女だ。慣れない日本では、カナダと文化が違って難しいことが多いはず。ギャップを感じたときどうしているの?と尋ねると、「ひたすら合わせます」という答えが返ってきた。

一億人の日本人の中で一人だけ「違う!」と叫んでも仕方ない。必死で相手に合わせるしかない、ということらしい。「自分らしさを出せるよう工夫します」といった回答を予想していたので、意外だった。

それまでに面接した学生の多くが、「自分らしく」という言葉を使った。おそらくA君の答えは、面接の模範解答ではない。だが、自分で見て、感じて、考えた結論を語ってくれた。一見主張がないように見えて、実は自分というものをしっかり持っている。

とにかく自分のすべきことを必死で考えて生きていく。これが学生と社会人の違い。A君は、すでにそれができている。4月1日、社員食堂でA君の姿を見かけたと、友人はうれしそうに報告してくれた。何はともあれ、春風に乗ってやってきた新社会人たちに心からエールを送りたい。