SAILING POEMS

If you are good enough, someone will notice.

電通報1996/11/4 都市計画と広告

毎朝会社に着く直前に、二百メートルほどのまっすぐな並木道を通る。両わきの木が頭上でつながる緑のトンネルだ。一見何の変哲もないこの道には、知る人ぞ知るトリックがある。道幅が、だんだん狭くなっていくのだ。初めは二人並べるが、最後は一人分の幅になってしまう。

どうして同じ幅にしなかったのか。専門的な事情があったのかもしれないが、設計者の遊び心の産物だという気もする。そう思うと、先細りの道ゆえに実際よりも遠くに見える出口が、秘境へ続く特別な穴のような気がして、胸が躍る。

都市計画にも、消費者調査と似たプロセスが必要だ。例えば多くの人に愛される公園づくりのために、専門家は街中の公園に集まる人の数や特徴を分析する。

一級建築士で、都市プランナーでもある親友が、以前、示唆的な信条を語ってくれた。「都市は完璧であってはいけない。手がかりをすべて失うような混沌は避けるべきだが、推測や探検の余地を全くなくしてはいけない。都市プランナーに完全に制御され、一から十まで分かってしまうような街には、だれも住みたくない」。「都市」という言葉を「広告」に置き換えてみたら、どうなるだろうか。